経肛門的洗腸療法(transanal irrigation:TAI)

経肛門的に直腸にカテーテルを挿入し、1~2日に1回300~1,000mlの体温程度の水を経肛門的に直腸に注入することにより直腸から下行結腸の便を排出する排便管理方法です。1,2

脊髄損傷患者さんと神経因性大腸機能障害を有する患者さんに対して実施されたシンチグラフィーを用いた研究において、経肛門的洗腸療法は、腸管内容物を排出するのに有効であることが示されました。1

洗腸前

洗腸後

1回の経肛門的洗腸療法によって直腸から下行結腸までの便を排出することで、新たな便が直腸に到達するまでの1~2日間、便失禁を防ぐことが出来ます。1,2

シンチグラフィーを用いた研究に関する文献はこちら。

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シンチグラフィーの画像について

経肛門的洗腸療法は、多くの研究が報告されています。このアニメーションでは、経肛門的洗腸療法の効果を見ていただきます。

経肛門的洗腸療法について

このアニメーションはぺリスティーンを使用した経肛門的洗腸療法の作用メカニズムについてご紹介します。経肛門的洗腸療法の使用を検討している患者さんに対して、説明する資材として役に立ちます。このアニメーションはぺリスティーンがどのように作用するか、視覚的にわかりやすく説明することをサポートします。

経肛門的洗腸療法の位置づけ

2013年には、国際的な専門家12名によるワーキンググループが、成人における経肛門的洗腸療法のベストプラクティスに関するコンセンサスレビューを行い、成人の排便治療において段階的治療アプローチを示すピラミッドを作成しています。経肛門的洗腸療法は、初期保存的療法(食事療法、薬物療法、摘便、坐剤、浣腸等)では便秘や便失禁の症状改善が十分に得られない場合、侵襲的な外科治療を選択する前の保存的療法として位置づけられています。2

成人における経肛門的洗腸療法のコンセンサスレビューの概要はこちら。

文献はこちら。

2017年には、専門家が小児における経肛門的洗腸療法のベストプラクティスに関する国際的なコンセンサスレビューを発表しました。

文献はこちら。

患者さんが経肛門的洗腸療法を成功させるためには、手技に関するトレーニングを受け、最初の段階で生活習慣に合わせて多くのサポートを受けることが不可欠です。

2017年に行われたフランスの研究では、経肛門的洗腸療法のコンプライアンスに影響を及ぼす最も重要な要因は何かが調査されました。

文献はこちら。

2018年には国内において、難治性排便障害に対する経肛門的洗腸療法 前向き多施設共同研究が行われました。

文献はこちら。

最近では、二分脊椎小児患者さんの腸内細菌叢に対する経肛門的洗腸療法の効果について報告されています。

「二分脊椎小児患者の腸内細菌叢に対する経肛門的洗腸療法の効果」に関する論文の概要はこちら。

文献はこちら。

 

国内では経肛門的洗腸療法に関する指針が関連学会より発行されています。

編集:日本大腸肛門病学会

経肛門的洗腸療法の適応及び指導管理に関する指針」はこちら。

 

編集:日本脊髄障害医学会、日本大腸肛門病学会、 日本ストーマ・排泄リハビリテーション学会                                    脊髄障害による難治性排便障害に対する経肛門的洗腸療法の適応および指導管理に関する指針作成委員会

脊髄障害による 難治性排便障害に対する経肛門的洗腸療法 (transanal irrigation:TAI) の 適応および指導管理に関する指針」はこちら。

 

また、経肛門的洗腸療法の実施施設一覧は下記よりご確認いただけます。

経肛門的洗腸療法の実施施設一覧」はこちら。

 

その他のエビデンスはこちら。

参考文献
  1. Christensen P, Olsen N, Krogh K, Bacher T, Laurberg S. Scintigraphic assessment of retrograde colonic washout in fecal incontinence and constipation. Dis Colon Rectum 2003;46:68–76.
  2. Emmanuel et al. Consensus review of best practice of transanal irrigation in adults. Spinal Cord. 2013; 51 (732-738).