受け入れまでの道
~ 治療への不安が信頼に変わる~

患者さんは間欠的自己導尿(ISC)を受け入れるのに苦労する可能性があります。
受け入れるまでの障壁には、患者さんの数と同じだけの多くの、様々な理由があります。しかし、最もよく見られる心理的な障壁は不安です。

ISC に関する 4 つの不安

完全に同じ患者はいないと言うのは確かな事実ですが、我々の研究では、大半の ISC 患者が多少なりとも、一般的な不安を繰り返
し経験していることが分かっています。これらの不安は主に次の 4 つに分類できます。1


挿入への不安
多くの患者さんは尿道に異物を挿入することを「不自然」と感じます。多くの場合は、解剖学的構造についての知識不足から、ISC は強い痛みを伴う処置に違いないと思い込んでいるのです。


実存的不安
一部の患者さんは、カテーテルの存在によって「自分は病気であり、生活が根本的に変わったのだ」と改めて意識させられます。
社会的な孤独を恐れる患者さんや、病気をなかなか甘受できない患者さんは ISC を受け入れる気持ちになれないかもしれません。


失禁の不安
失禁に伴う恥ずかしさは患者さんにとって対処し難い場合があります。こうした不安から ISC を拒絶する可能性があります。


尿路感染症への不安
我々の研究では、調査対象のISC ユーザーのうち半数以上が尿道への細菌侵入を懸念していることが分かっています2。
全体の41%のユーザーが尿路感染症を日常の心配事として挙げました 2。
こうした不安が、ISC の受け入れを妨げる障壁となる可能性があります。

患者の不安を明らかにする

患者さんの不安を明らかにする方法の 1 つには自由回答式の問いかけをすることがあります。この形式の問いかけで、患者さんに心配事について遠慮なく話すよう促します。

患者さんの現時点での不安が分かったところで、「今後について知る」ために同じ形式の問いかけをし、患者さんが今後行きたい場所ややりたいことを明らかにします。

最後に、現時点の不安と今後の希望とのギャップを埋めます。そうすることで、患者さんは希望通りの生活を送るうえで ISC がいかに役立つかを理解できます。

モデルを活用する

シナリオ:あなたは患者さんから、病気をなかなか受け入れられずにいると伝えられました。患者さんは孤独を感じています。
ISC を行うようになるまでは、活発な社会生活を送り、ゴルフを楽しんでいました。
今は、失禁するかもしれない不安から、出かけるのが怖いと感じています。
再び友人たちとゴルフコースを回れるようになれたらと思っています。

患者さんの現時点の不安(孤独や失禁)と今後の希望(活動的な暮らしに戻ってゴルフを楽しむこと)を明らかにしたら、そのギャップを埋めることができます。
例えば、「ポケットかゴルフバッグに入れて持ち運ぶことができて、誰にも見られずに済むカテーテルがあることをご存知ですか?これを使えば、失禁の心配もなく、友人たちとゴルフができますよ。」と伝えるのです。